チリ地震、津波の理解度まちまち 迅速な避難行動が大切(産経新聞)

 南米チリで2月27日に起きた地震=マグニチュード(M)8・8=による津波は、ほぼ1日後に日本列島に到達した。国内で142人が犠牲になった1960年のチリ地震津波に比べると地震、津波の規模が小さく、「大津波警報」「避難勧告」など防災機関や自治体による注意喚起の効果もあって、今回は死者・行方不明などの人的被害はなかった。チリ地震津波から、課題と教訓を探った。(中本哲也)

 ≪心配な「思い込み」≫

 東大地震研究所のアウトリーチ推進室は、地震発生から1週間後の今月6、7日、2060人を対象に「津波に関する意識調査」を実施した。調査方法はインターネットによるウェブアンケートで、避難勧告地域などに対象を限定せず、日本人全体の意識や報道の影響力などを探った。

 津波に関する基本的な設問では、沿岸に近づくと津波は「高くなる」(81・5%)、津波は第1波だけでなく第2、3波が来ることが「ある」(94・8%)など、高い正答率を示した。

 沿岸での波の高さについては13・3%、第2、3波の襲来は36・3%の人が「今回の報道によって知った」と回答している。

 同推進室の大木聖子(さとこ)助教は「地震発生から津波の到達まで、長い時間、津波情報に接した後だったので津波への関心が高く、正答率もよかった」とみている。

 一方、太平洋を渡る津波の伝播(でんぱ)速度を問う設問では、「自転車くらい」(3・8%)、「自動車くらい」(21・5%)、「新幹線くらい」(27・1%)、「ジェット機くらい=正答」(22・8%)、「ジェット機より速い」(6・7%)と回答がばらつき、沿岸に近づくと遅くなる津波を「速くなる」(62・2%)「変わらない」(10・1%)と誤解している人が7割を超えていた。

 心配なのは、こうした誤解や思い込みが、危機管理意識の欠如につながってしまうことだ。

 どのくらいの高さの津波は危険だと思うか?という設問に対しては、「10センチ以上」(6・5%)、「50センチ以上」(29・8%)、「1メートル以上」(35・9%)、「3メートル以上」(19・0%)、「5メートル以上」(2・3%)と回答に幅があり、3人に2人は1メートル未満では危険だと認識しないことが分かった。

 内閣府・消防庁の調査でも、避難指示や避難勧告が出された地域で、避難所で確認された住民はピーク時でも3・8%にとどまった。50センチ〜1メートル程度の津波を「危険なし」と自主判断した結果とみられる。

 ≪広報・報道に工夫も≫

 実際には、50センチ程度の津波でも激しい流れと漂流物で立っていられなくなり、命の危険にさらされる。今回のチリ地震で観測された津波は最大で1・2メートルだったが、漁船が陸に打ち上げられたり、カキ養殖の筏(いかだ)に被害が出るなど、決して安全なレベルではなかった。

 津波情報として予想される波の高さが重点的に伝えられることが、水位以外の要素がイメージされない原因かもしれない。大木さんは「津波の本当の怖さが実感できるように、広報活動や報道にも工夫が必要だと思う」と話す。

 避難率は低かったとはいえ、約170万人を対象にした避難指示・勧告と何万人もの避難行動が、犠牲者ゼロにつながったともいえる。その経験と教訓を、次の地震・津波に生かすことは、私たちの一人一人の課題だ。

 次に日本列島を襲う津波は、地球の裏側から来るわけではない。近くの海域で起こる地震・津波では、思い込みや自主判断を捨てて「迅速な避難行動」をとることが、何よりも大切だ。

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普天間移設、政府2案を与党・沖縄県に提示(読売新聞)

 政府は25日、沖縄県の米軍海兵隊普天間飛行場の移設問題で、鳩山政権の移設案としてまとめた米軍キャンプ・シュワブ陸上部(同県名護市など)と米軍ホワイトビーチ沖(同県うるま市)の埋め立てを軸とする2案を社民、国民新両党に伝えた。

 沖縄県側にも非公式に伝達した模様だ。26日には米政府にも提示し、鳩山首相が目指す5月末までの決着に向けた交渉を本格化させる。社民党と沖縄側は強く反発している。米側が受け入れる見通しもなく、交渉の難航は避けられない見通しだ。

 2案のうち、シュワブ陸上部案とする場合は、500メートル級の滑走路をつくる案が最有力だ。米海軍基地であるホワイトビーチ沖埋め立て案は、同基地と近隣の島の間を埋め立てることを想定している。

 日本政府は、2案のどちらかに、鹿児島県の徳之島など沖縄県外への訓練移転を組み合わせる案で与党、米側、沖縄側と最終調整を図る方針で、これに伴い、「普天間飛行場の訓練の5割以上」を県外に分散移転できると見ている。

 平野官房長官は25日夕、首相官邸で社民党の阿部知子政審会長と国民新党の下地幹郎国会対策委員長と会談し、2案を伝えた。月内に正式に政府案をまとめる意向も示した。北沢防衛相は同日夜、沖縄県の仲井真弘多知事と非公式に会談した。26日朝には岡田外相がルース駐日米大使、北沢氏が知事とそれぞれ会談し、正式に説明する。

 しかし、社民党幹部は25日夜、「県内移設は認められない」と政府案を拒否する考えを示した。仲井真氏も「今の沖縄では県外(移設論)が高まっており、陸上であれ海上であれ非常に難しい」との認識を北沢氏に伝えた。

 これに先立ち、北沢氏と会談した高嶺善伸沖縄県議会議長も、県内移設反対の立場を強調した。

 米側も、キャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行案を最善とする姿勢を崩していない。岡田氏は今月末、クリントン国務長官、ゲーツ国防長官に直接説明する予定だが、米側は米軍の運用面から支障があることに加え、「地元が反対し、政治的にみて実現可能性が極めて低い」(米政府筋)として見直しを迫る考えだ。

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公益法人への負担金見直しを=事業仕分け、行政刷新相と会談−橋下知事(時事通信)

 枝野幸男行政刷新担当相と蓮舫参院議員らは21日、「事業仕分け第2弾」の参考にするため、都内で大阪府の橋下徹知事と会談し、府の行政改革の取り組みについて説明を受けた。この中で橋下氏は、自治体から負担金を集める公益法人の在り方を批判。「公益法人を原則ゼロにするぐらい、事業仕分けで大掃除してもらいたい」と求めた。
 橋下氏は、大阪府に課せられている公益法人と独立行政法人への負担金が2008年度まで年間約47億円あったが、10年度までに自主的に14億2000万円減らすことができたと紹介。「意味のない『会費』(負担金)も多い。法律の縛りを見直してほしい」と要請した。 

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コンビニ店長、路上で売上金63万奪われる(読売新聞)

 23日午前9時40分頃、広島県福山市三之丸町の路上で、近くのコンビニエンスストアの男性店長(54)から、「後ろから自転車で来た男に売上金63万円が入ったビニール袋を奪われた」と110番があった。

 店長にけがはなかった。県警は窃盗容疑で調べている。

 発表によると、店長が歩いていたところ、後ろから肩を突かれてバッグを落とし、中から飛び出した現金入りのビニール袋を奪われたという。

 男は、身長約1メートル75で、茶髪に黒い長袖シャツとジーンズ姿だったという。現場はJR福山駅すぐ南側にある駐車場近く。

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首相動静(3月19日)(時事通信)

 午前7時54分、公邸発。「クロマグロの禁輸否決について」に「よかったと思う。しかし、まだ予断は許さない。警戒はしておかないといかん」。同56分、国会着。同57分、院内大臣室へ。同8時2分、閣議開始。
 午前8時38分、閣議終了。
 午前8時43分、院内大臣室を出て、同44分、国会発。同46分、官邸着。同47分、執務室へ。同58分、川端達夫文部科学相、鈴木寛文科副大臣が入った。
 午前9時30分、川端、鈴木両氏が出た。
 午前9時31分から同10時4分まで、大塚耕平内閣府副大臣。
 午前10時15分から同31分まで、松井孝治官房副長官。
 午前10時37分から同11時1分まで、市村浩一郎民主党衆院議員。
 午前11時23分、執務室を出て特別応接室へ。同24分から午後0時4分まで、エジプト紙アルアハラムのインタビュー。小川洋内閣広報官同席。同10分、同室を出て首相会議室へ。
 午後0時29分、首相会議室を出て執務室へ。
 午後0時57分から同1時3分まで、中山義活首相補佐官。同26分から同32分まで、バンクーバー冬季パラリンピックノルディックスキー距離男子で金メダルを獲得した新田佳浩選手を電話で祝福。
 午後2時8分から同36分まで、鈴木文科副大臣。松井官房副長官同席。同37分、執務室を出て、同39分、官邸発。
 午後2時47分、東京・霞が関の中央合同庁舎4号館着。障がい者制度改革推進会議に出席し、あいさつ。
 午後3時19分、同所発。同22分、官邸着。同23分、執務室へ。
 午後4時40分、執務室を出て特別応接室へ。同41分から同5時5分まで、中国の王毅・国務院台湾事務弁公室主任が表敬。松野頼久官房副長官、福山哲郎外務副大臣ら同席。同7分、同室を出て執務室へ。
 午後5時25分、執務室を出て、同26分から同34分まで、大ホールで報道各社のインタビュー。「核密約の文書が破棄された可能性があることが明らかになったが」に「新政権としては重要文書はしっかりと保管されなければならないし、保管していく。事実関係を岡田外相のところで確認するということだからそこはしっかりやってもらう」。同35分、大会議室へ。同36分、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)開始。
 午後6時18分、同本部終了。同19分、大会議室を出て執務室へ。
 午後6時54分、執務室を出て、同55分、官邸発。同56分、公邸着。
 20日午前0時現在、公邸。来客なし。(了)

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<火災>野焼きが広がり、1号線通行止め−−京都・伏見(毎日新聞)

 15日午前11時10分ごろ、京都市伏見区向島大黒の宇治川左岸河川敷で、野焼きの炎が燃え広がり、約1時間半後鎮火するまでに下草など約8ヘクタールが焼けた。人的被害はなかった。火災の煙で視界が妨げられ、国道1号が伏見区と久御山町間で約3キロにわたり約1時間、通行止めとなった。

 京都市消防局や国土交通省淀川河川事務所によると、京都市の男性が許可を得て、伝統工芸に使うヨシを刈った跡に点火したところ火勢が強まった。

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鳩山邦夫氏、与謝野・舛添氏との連携に意欲(読売新聞)

 自民党の鳩山邦夫・元総務相は15日午後、秘書を通じて大島幹事長に離党届を提出した。

 野党転落後、自民党の現職国会議員の離党表明は6人目で衆院議員は初めて。邦夫氏は提出後、大島氏に電話し、近く新党を結成する考えを伝えた。邦夫氏は今夏の参院選に向け、4月末までに新党を結成したい考えで、同様に新党結成の可能性に言及している与謝野馨・元財務相や、執行部に批判的な舛添要一・前厚生労働相らとの連携を探る構えだ。

 邦夫氏は、大島氏との電話で「今の民主党政権ではだめだ。自分は外に出て新党を目指し、悪政を断ち切る」と離党の理由を説明。その後、都内で記者団に、新党結成について、「(4月末からの)連休前にはつくりたい。(現職国会議員)5人は確保できると思う」と述べた。

 また、「日本一、頭のいい政治家は与謝野馨。国民の人気が一番高いのは舛添要一。この2人を結びつけることができたら最高だ」と強調し、与謝野、舛添両氏らとの連携に改めて強い意欲を示した。

 与謝野氏は15日夜、都内で記者団に「16日にも(邦夫氏から)話を聞いてみたい」と述べた。

 邦夫氏の離党届提出を受け、谷垣総裁は党紀委員会で取り扱いを協議するよう、大島氏に指示した。谷垣氏は鹿児島市内で記者団に、「新党を作るということを、具体的に日限を切ったように言われると、一緒にやるのは難しい。(離党は)やむを得ない」と語った。

 一方、与謝野氏に近い園田博之幹事長代理も15日、幹事長代理職の辞任を伝え、了承された。大島氏によると、園田氏は「民主党政権を倒す目標は一緒だが、進め方で執行部と違う方針を主張してきた。執行部の外に出て、自民党のあるべき姿を追及していきたい」と話したという。園田氏は執行部刷新を求めている与謝野氏とともに、当面は谷垣氏らの対応や党内情勢を見極める考えと見られる。

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元IBM営業マンが手を染めた禁断の“赤黒転換”(産経新聞)

【疑惑の濁流】

 システム開発業界の“サラブレッド”が、巨額の粉飾決算容疑で摘発された。コンピューターメーカー大手の日本IBMと野村総合研究所の共同出資で誕生した「ニイウスコー」(東京都中央区)。逮捕・起訴された元会長は約10年で売上高800億円企業に急成長させた“敏腕”だったが、経営が下降線をたどるようになると、粉飾工作をトップダウンで下していたとされる。日本IBMの巨大な影も事件を覆っており、粉飾疑惑は拡大の様相を呈している。(花房壮)

■「新経営陣は私を…」

 受話器の向こう側から漏れてくる男性の声は、怒気を含んでいた。

 「粉飾決算の認識もないし、指示を出したことは一切ない。新経営陣が私をおとしめようとしている」

 「新経営陣側の調査委員会は、報告書の中で、682億円の粉飾決算が行われたと指摘しているが、その数字の根拠が全くわからない」

 平成21年10月。産経新聞の複数回にわたる電話取材に対し、粉飾決算への関与が取りざたされていたニイウスコー元会長の末貞郁夫容疑者(62)=横浜市青葉区=はこう疑惑をきっっぱりと否定していた。

 それから5カ月後の今年2月11日。末貞容疑者は同社元副会長の大村紘一容疑者(68)=神奈川県藤沢市=とともに、横浜地検特別刑事部に証券取引法(現金融商品取引法)違反の疑いで逮捕された。

 逮捕容疑は、平成18年6月期連結決算について、商品を動かさずに伝票上だけで売買したことにする「循環取引」などを繰り返し、売上高約772億円、経常利益約57億円と記載した虚偽の有価証券報告書を関東財務局に提出した−というものだった。

 経営陣のナンバーワン、2が主導したほか、赤字を黒字に偽装するという決算書の「赤黒転換」の悪質性を重視した同地検と証券取引等監視委員会が、強制捜査に踏み切ったのである。

 ニイウスコーをめぐっては、20年4月に東京地裁に民事再生法適用を申請した。その際、新経営陣は19年6月期までの5年間の連結決算で計56の不正取引があり、粉飾額が682億円に上ると発表していた。

 監視委も巨額粉飾決算の疑いがあるとみて調査に乗り出していた。疑惑浮上から換算すれば、事件化は2年近くの時間を要したのだ。

 末貞容疑者は逮捕当初、容疑を否認していたが、数日後には「部下に粉飾の手口を指示した」と認めたのである。具体的には、社内会議などで、ホワイトボード上に約30社の取引先や仲介会社の名前を末貞容疑者自らが書き込み、粉飾決算手口である循環取引について指示していたという。

 「容疑を認めるのは時間の問題だった。末貞容疑者が粉飾工作を指示した決定的な資料をすでに部下から押収していたのだから。言い逃れはできない」

 監視委幹部はそう言って余裕の表情を浮かべた。

■脱サラの星も…業績ピークは“下り坂の始まり”

 横浜地検は今月3日に2人を起訴するとともに、17年6月期連結決算でも循環取引で売上高を約121億円水増しした疑いで再逮捕した。17年、18年の2年間での水増し額は250億円に達し、巨額粉飾事件に発展したのである。

 末貞容疑者をはじめ、幹部の大半が日本IBM出身という毛並みの良さを誇るニイウスコーは、なぜ粉飾決算を繰り返し、経営陣のトップが逮捕されるという転落を軌跡をたどったのか。

 同社の創業者である末貞容疑者は昭和46年、慶応大学を卒業後、日本IBMに入社。金融機関営業本部などでキャリアを積んだ後、平成4年に金融機関向けのコンピューター機器を販売する「ニュー・インテリジェント・ワークステーション・システムズ」(略称NIWS)を設立した。

 メガバンクを安定顧客に抱えた同社は14年に東証2部に、翌15年には東証1部への上場を果たした。設立10年強で年商も800億円のIT企業に成長し、牽引(けんいん)してきた末貞容疑者は脱サラの成功者として脚光を浴びた。

 しかし、業績のピークは“下り坂の始まり”でもあったようだ。

 同社は高齢化時代の成長産業として有望視されていた医療関連のITサービス事業にも食指をのばした。だが、初期投資がふくらむ一方、サービスの低価格化などで収益が伸びず、多額の損失を計上し、全面撤退の辛酸をなめたのである。末貞容疑者は19年6月期決算で債務超過に転落した責任をとる形で経営から退いた。

■ノルマ成績優秀者には特別な“ご褒美”

 組織内部も疲弊していたようだ。

 「社の方針は末貞容疑者の独断で決められ、口を挟むことはできなかった」(関係者)という同社では、営業で厳しいノルマが課されていたという。

 業界関係者によると、成績優秀者は「ワンハンドレッド・パーセント・クラブ」と称する集まりへの加入が認められ、法外な報酬や海外旅行がご褒美で与えられたという。「ただ、成績が芳しくない“負け組”は人間扱いされないような状況で、社内の雰囲気は自慢できるものではなかったようだ」(同)。

 過度なノルマ主義で無理を重ねた経営スタイルが粉飾決算の風土をいつの間にか形成したのだろうか。

 別のIT関連会社幹部はこう話す。

 「IT業界では業績をよく見せるための循環取引は“商習慣”のようなもので、それほど罪悪感はないのかもしれない。数字を操作すれば、簡単に赤字が黒字になるわけだから。業績悪化で追いつめられた末貞容疑者も経営者が陥りがちな禁断の手段に手を出してしまったのではないか」

 だが、ニイウスコーの粉飾決算事件は新たな局面を迎えようとしている

■巨大な影…当局も不正取引の関与にメス

 今月4日午前。監視委の一団が東京都中央区の日本IBM本社を家宅捜索した。

 今回の粉飾事件の関連先として強制調査に乗り出したのである。

 業界の“ガリバー”への本格調査に、関係者は「ついに監視委が本丸に攻め込んだ」と口にしたが、市場関係者は「末貞容疑者の主導の構図は変わらない。不正取引の裏付けだろう」と慎重な見方を示す。

 押収資料の分析次第では新たな展開もあるのか。

 「否定はできないが、少なくとも中小零細企業では日本IBMから仕事をもらおうと、無理をしているところも少なくないようだ。ニイウスコーも日本IBMとの取引で数十億円の負債を抱え込んだという話もある。その損失を隠すために粉飾に手を染めた可能性は捨てきれない」

 市場関係者は、今回の粉飾決算事件の原因に日本IBMとの取引が絡んでいるとの見方を示した。

 日本IBMは強制調査に対し「全面的に協力する」とコメントしており、事件への関与の解明は始まったばかりだ。

 ただ、日本IBMをめぐっては、大阪地検と監視委が19年2月、取引先のITベンチャー企業「アイ・エックス・アイ」による証券取引法違反事件でも循環取引に関与した疑いがあるとして強制捜査を受けたことがある。それだけに、監視委幹部も「押収した資料をじっくり分析する必要がある」と本腰を入れた調査の必要性を口にする。

 捜査当局に容疑を認めたとされる末貞容疑者の口からは、ガリバー企業に関するどんな供述が吐露されているのか。IT業界関係者にとって、ニイウスコーの粉飾決算事件はしばらく目が離せそうにない。

 ■循環取引 複数の企業間で商品を実際には動かさずに伝票上だけで売買したように装い、架空の売り上げを計上する不正取引。新興市場では成長性が重要視されるため、IT企業の粉飾決算に悪用されるケースが少なくない。

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女児虐待死、継母を傷害致死容疑で再逮捕「黙秘します」(産経新聞)

 兵庫県三田市で継母が長女に虐待したとされる事件で、同県警は5日、暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死容疑で継母の寺本浩子被告(27)=傷害罪で起訴=を再逮捕した。県警によると、寺本容疑者は「黙秘します」と供述を拒んでいるという。

 逮捕容疑は、昨年11月24日、当時住んでいた三田市の自宅マンションで、長女の夏美ちゃん=当時(5)=の頭部に暴行を加えて急性硬膜下血腫を負わせ、脳機能障害で死亡させたとしている。

 寺本容疑者は、夏美ちゃんの顔をたたくなどしたとして逮捕された。死亡については関与を否定していたが、司法解剖などの結果、夏美ちゃんが頭部に激しい衝撃を受け、脳内部で出血する「乳幼児揺さぶられ症候群」だった可能性が高いことが判明。県警は、寺本容疑者以外に夏美ちゃんと接触し、暴行できた人物がいなかったと判断した。

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